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くろいぬ日記

黒犬ニッキー、アリゾナ育ちの東京暮らし。

2001年10月の日記

■2001/10/29 (月) ありがとう!〜お礼と報告〜

◆ 携帯からの書き込みです。
みなさんに応援して頂いた、JR3社の乗車テスト、去る25日に無事パスすることが出来ました。
帰国以来、日本の協会に属していないために「ペット」扱いで、テストさえ受けさせて貰えなかったニッキー。沢山の仲間に背中を押されて、晴れて「介助犬ニコラス号」として電車に乗れることになったのです。
車の運転出来ない私は、この1年どこに行くにも、人の厚意に頼るか、自分の身体と心の一部であるニッキーを家に残すしかありませんでした。出かけるのが苦痛だったし、人に頼りっきりの自分がみじめで泣けてくることもありました。
そんな情けない私を今まで支えてくれた人達に、改めて、ありがとうございました。
そして誰よりも、堂々とテストをクリアしてくれた私の素晴らしい介助犬ニッキー、本当にありがとう。いつまでも君とふたりあるき出来ますように。
さあ、明日は初めての列車の旅。

■2001/10/24 (水) 早すぎる〜!

 ここのところ、猫たちの話が少ないかも。
 実は10月いっぱい、もしかしたら11月はじめまで各種の事情とスケジュールがひしめきあっているので、リズ・ギギは2匹とも実家に預けたままになっている。
 父上は相変わらずリズにべた甘で、母上はなんと「リズがお手をするようになった」などと喜んでいるので、このまま行けば返してもらえない可能性も大。そして、「ギギがいないとリズが探し回って鳴くのよ」という発言から推測して、ギギも実家の子になってしまいそうな感じ。。。
 我が実家だしそれでもいいんだけど…タンちゃん・ちょび・にゃご・茶々丸の4匹が既に居る訳で、合計6匹っていうのは、ちょっと大変そうかな、と思う。

 で、実家滞在中のリズ。なんとなんとなんと、生後6ヶ月にして早くもシーズンを迎えてしまった! これには家族全員ショックである。
 実家の近くの某テーマパークで介助犬のデモンストレーションをするために、ちょうど実家に帰っていたので、リズのちょっと異常な甘え方とすりすり行動を目の当たりにした。鳴き方も、ギギにうっとりとお尻を向ける行動も、間違いなく発情した牝の行動。
 あんた、ついこないだまで乳歯があったのに、早すぎるよ! 避妊手術そろそろ予約しなきゃね、と言ってたら、その前にシーズン到来とは。
 当のリズ姫、身体の成長に精神が追いついていないらしく、べたべた行動は出ているものの何も解っていない。ニッキー兄さんを誘惑してどうするんだ?

■2001/10/19 (金) 嬉しかったので

 KEIKOさんが、介助犬支援サイトのために描きおろしたイラスト。
 白っぽい犬、同じラブでもイエローとか、わかりやすいマーキングのある顔の犬の方が、絶対絵のモデルには向いているはずなのに、彼女はニッキーをモデルにしてくれた。
 やっぱり嬉しい♪
 嬉しかったので、ここのタイトル画像にしてみた(^^)
 とっても古い話だけれど、昔々、日本で介助犬の育成がまだ始まっていなかった(訓練済みで輸入された介助犬が1頭だけいた)頃、とある犬の雑誌で、アシスタンス・ドッグの特集があった。盲導犬、数頭しかいなかった聴導犬、そしてこれから育成される介助犬の仕事を紹介したのだ。
 当時視力の低下が気になり、車椅子も使い始めた私は、介助犬と暮らすことを早くも決意していて、その記事の中の、車椅子を引くゴールデン(多分…)のイラストを眺めて自分の姿を重ね合わせていたのを覚えている。車椅子を安全に引いてくれることは、その時も今も、私が介助犬に要求するいちばんの仕事だから。
 そう、そのイラストを描いていたのが、KEIKOさん。
 今、同じ構図で赤いハーネスを着けた黒ラブのイラストが、私の手元にある。勿論↑のイラストも。
 懐かしい彼女のタッチで、ニッキーが描かれていることが、感無量。
 完璧に訓練された理想的な介助犬との暮らしを夢見ているより、1頭の頑固で小心者でわがままな本物の介助犬が居てくれることの方がずっと素敵なんだよね。――そんなことも考えさせられた。

■2001/10/18 (木) 恐怖体験

 友達のIさんに真面目な用があって電話した。
 Iさんとは、大学の先輩後輩であることが判明した他、ふたりとも黒っぽい犬が好きだったり、「大人になっても鼻血を出した仲間」だったりする。
 本日は真面目な用事から何故か「この名字はこうこうだから、普段ひらがなで書いてるの」とか「去年まで運気がよかったけど」「身内に霊感の強い人がいて」などの話になった。
 そういう話って、一歩引かれてしまったりして意気投合できる人が少ないから、お互いに「お〜この手の話も出来るじゃん」と嬉しくなったりした。
 犬猫飼いである私達は当然、
「動物は人間に見えないモノを見てるよね」
 と話して、じゃーね、と受話器を置いた。
 ふと見るとテレビは、お祓い云々、というまさにそれ系の話題を放送している。
 さて、ニッキーに「ハウス」と声をかけた。ところが、何故かハウス(と言ってもマット)に入らない。
 ハウスの上のタオルをどけてみた…が入らない。
 ハウスの前の水飲みを端に寄せてみた…が入らない。
 ハウスの横の紙袋を押し入れにしまった…がやっぱり入らない。
 強めに「ハウス!」と言うと、ハウスに入ろうとしてその前で前足をあげたまま止まってしまった。何度か繰り返すが、ニッキーはしっぽを下げ、ごめんなさいの顔をしている。
 おりしもテレビからはお経と九字を切る声。
 Iさんとの会話が蘇る。「人間に見えないモノ…」
 何かがいるに違いない。ニッキーのハウスに。ハウスがいつもより冷たく湿っているのは、天気のせいじゃなくてそのせいだ!
 そっち系の話を結構信じる私は、何がいても取り憑かれないようにニッキーの首に数珠をかけて「ハウス」と指示した。何年も教会に行ってないけど一応クリスチャンなので、数珠=ロザリオである。十字架のついたロザリオを首にかけて、黒犬ニッキーは「あーなたーはかーみを、しんじまーすかぁ?」と言いそうな姿だった。
 お経と錫杖の音をバックにロザリオをかけたニッキー、一瞬迷ったけれど、今度は思い切ってハウスに踏み込んだ。ついでに、犬に御加護をくれそうな聖フランシスコのカードをハウスに置いた。
 こうしてニッキーは、ロザリオを食器にがちゃんがちゃんぶつけながら、ご飯にありついた。その時もう一度触ってみたけれど、ハウスはさっきのように冷たくなかった。
 以上、今夜の出来事。コメントはしません(笑)。

■2001/10/16 (火) ドラッグストアにて

 近所のドラッグストアは、帰国早々からニッキーの入店を快く許可してくれた。それも、アメリカに行く前のニッキーを知っているのに、である。
 訓練前のニッキーを連れて買い物中、この店の前に繋いでおいたら、吠えまくって大騒ぎしたあげく、買い物を中断して出て来た私にがんがん飛びついた。今でも分離不安が強いけれど、当時はもう、飼い主が離れるとパニック! だったのだ。
 お店の人はパニックを起こしているニッキーをじっと見て、「これは…介護犬じゃないんですね。介護犬は利口だもんね」と、ぐさっと来る正直な感想をこぼした。
 それから2年。介助犬になったニッキーを連れて帰国した私がその店に電話で尋ねたら、「勿論です、介助犬や盲導犬はお連れ下さい」という模範解答で許可して頂いた。
 それから更に1年。ニッキーは何度もその店に入り、買い物もしている。

 と、ここまでが前置き。
 この店にいつも通り買い物に行き、店の前の歩道がでこぼこしているので、ニッキーに車椅子を引いてもらう。そのまま自動ドアを通って店内へ。見ていた店員さんが「やーっぱり賢いねぇ、介助犬は」と言ってくれ、ニッキーも得意顔。しっぽが回転する。
 ぐきっ! とやった足に貼る湿布と、ついでにペットボトルのお茶をレジに持って行こうとしたら、ペットボトルが床に落ちた。
 ニッキー、チャンス! 仕事をして店員とお客の注目を集めるチャンスである♪
 やる気スイッチが入っていたニッキーは、転がるボトルを前足で止め、さっとくわえあげて私の膝に乗せ、さっき褒めてくれた店員さんを振り返る。「どぉ?」
 すると。
 意外にも店員さんは、「えっ? すごーい、拾ったよ」と驚くのだ。介助犬の仕事の中で、落ちた物を拾うことはとっても有名(?)なのに。
「この子は『車椅子を引く介助犬』だと思っていたら、他にも色々出来るんですね」――彼は、「介助犬とは、落ちた物を拾ったり、車椅子を引いたりする犬」と書いてあるのを、「物拾い犬」「車椅子犬」「杖代わり犬」などなどが別々にいて、総称して介助犬というのだと思ったのだそうだ。
「理解のある」人達の中でもいろんな誤解があるもんだと、新鮮に驚いた私だった。
 ニッキーは、いちばん単純な作業で驚いてもらって心底嬉しそう。相変わらず注目されるのが好きな犬である。

■2001/10/13 (土) 頑固者

 実家からやっとアパートに帰ってきた。
 その日転んで、ぐきっ! とやってしまった。
 ぐきっ! となった右足をかばって、室内も杖を使ってそろそろ移動し、時々「いててて」なんて言っている。情けない。
 結構長かった実家生活で、介助の仕事を殆どせずにすんでいたニッキーだけれど、帰ってくるなり、電話取りから立ち上がりの補助まで、仕事が忙しくなった。

 特に、ニッキーは杖を運ぶのが苦手。
 体高57センチのニッキーが私の杖の持ち手をくわえると、杖が地面に斜めにつっかえて、うまく運べないのだ。持ち手以外は金属なので、どうしてもくわえたくないらしい…。
 私は2歳以前のニッキーを知らないけれど、棒で脅されたことがあるのかもしれない。物をくわえる仕事を教えたばかりの頃は、杖も箒もくわえられなかった。
 運べずに落とした杖が、がたーん! なんて音を立てると、今でもニッキーは嫌な顔をして警戒モードになる。
 それなのに…いざる・伝い歩き・杖歩行を使い分ける都合上、何度も「Get the cane(杖を取って)」と頼んでしまう。ごめん、にっき。
 本当は、ユーザーの杖を嫌がるなんて介助犬としては失格なんだと思う。
 でも、何度失敗しても、もういいよ、と言っても、ニッキーは諦めない。何とかうまくくわえようと、前足を使ったり、反対側からやり直してみたり。そうやって、自分の意志でなんとかパートナーを助けようとしてくれるのが、道具でないアシスタンスドッグの素晴らしさなんだよね。
 訓練中はてこずったニッキーの頑固さが、今はとても頼もしいのだ。

 で、ちょっとでもくわえやすいように、杖の重心部分に包帯を巻いてみた。金属が嫌いでもこれなら大丈夫!――と思ったのだけれど、ニッキーは二度包帯部分をくわえて気持ちよく一発成功した後で、何故か持ち手に再挑戦しはじめた。どうしても持ち手をくわえて、引きずって持ってきたいらしい。
 どこまでも頑固な子だった、うちの黒犬は。

(C)Yuki+Nicholas, http://blackdog.whitesnow.jp/