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くろいぬ日記

黒犬ニッキー、アリゾナ育ちの東京暮らし。

2002年1月の日記

■2002/01/26 (土) ただいま

 年に一度のアリゾナ里帰りを終えて、ニッキー共々無事帰国した。
 今回はあわただしい旅行だったけれど、おおらかなアメリカにいるとニッキーのいい加減な仕事ぶりに腹も立たず、楽しく過ごしてきた。
 小心者の私は、やっぱりテロが不安。今回同行したトレーナーののじじぃと中京テレビのYディレクターは、ふたりとも「危機一髪で生還できる手相」の持ち主だったので、一瞬安心したのだが…危機一髪で生還する、ってことは、危機一髪に遭遇するんだよね? 非科学的な理由で不安になっていた私だった。
 幸い、危機一髪な状況には遭遇しなかった(または遭遇しても気づかなかった)。無事に帰国して、次に気になったのは私が出発する頃から急に食欲を無くしていたリズのこと。この子が食欲を無くしたことなんてなかったので、もしかしたら私の旅行中に死んでしまっているかも…と本気で考えた。
 で。
 帰宅してまず会いに行ったリズは、とっても元気だった。しばらく餌を食べなかった理由は「胃炎」だったそうだ。その胃炎の原因は、押し入れを開けてしまってあったニッキーのドッグフードの袋を食い破り、しこたま夜食を食っていたから。ドッグフードの袋に入り込んで盗み食いしているところを偶然現行犯逮捕され、全てが明らかになった。
 猫のくせに身体に合わないドッグフードを腹一杯食べ続けていたら、そりゃ具合も悪くなるだろうよ(呆れモード)。
 拾った当日、お腹を空かせてぴーぴー泣いているちび達に、犬用の缶詰と牛乳でふやかせた犬用ドライフードをあげたのが悪かったんだろうか。猫用の餌よりまずい犬用の餌にいまだに執着する変な猫リズ。獣医さんも「変わってますけど刷り込みされたんでしょうかねぇ」とびっくりしていた。実の姉猫まおちゃんも、ドッグフードから野菜までなんでも食べる立派な食欲猫に成長しているらしい。
 と言う訳で帰国早々から猫の話題でした(笑)。

■2002/01/09 (水) ばちっ!

 昨日かなり落ち込む出来事があった。ため息をついてうつろに過ごす飼い主を気遣うニッキー。持つべきものは犬だなぁ、と思う。
 半径1.5メートルのあたりをうろうろして、そっとこちらの様子を観察する。うっかりテンション高めに甘えようとすると、邪険に「ハウス!」と言われてしまうから、あくまでも静かに、おすわりしてじっと見つめてみたりして、控えめに励ましの言葉をかけてくれた。「すぴ〜〜」と。
 私が落ち込んでいちばん困っているのはニッキーだと思う。犬には、特にこんなべったりタイプの犬には、飼い主が全てなんだから。ごめんねニッキー、早く立ち直るからね。
 大丈夫! と笑ってみせると、さっそくすりよってきた。人の手に頭を押しつけて、いつもより多少静かに甘えてくる。ああ、そのいじらしさ。
 感動して撫でようとしたら、久しぶりにニッキーの濡れた鼻で超強力な静電気が発生してしまった。
 ばちっ!
 私も痛かったけど、敏感な鼻にばちっと来たニッキーはもっと痛かったんだろうな。思わず一歩身を引いていた。
 ニッキーは静電気体質な犬なのだ。冬になるとしょっちゅう鼻がばちっとなってしまう。この季節、ブラシをかけてもばちばち、タオルで拭いてもばちばちな犬。ハーネスに首を突っ込んだ途端にばちっと来たこともある。猫みたいにすりすりしてくる癖があるから、すりすりの度に身体に電気を溜めているのかもしれない。
 結局昨夜は、落ち込む私をはげますために一晩で4回、鼻先に電気を起こしてしまったちょっと可哀想なニッキーだった。でも、ばちっと来る度に驚く懲りないニッキーに、この最悪な精神状態の中、随分笑わせて貰った。
 やっぱり持つべきものは犬だなぁ、とまた思った。

■2002/01/07 (月) おかたづけ…

 片づけものが苦手、というより全く出来ない性格の私。必要なものが必要な時にないことがいっぱいある。本日は、来週のアメリカ旅行でニッキーの検疫に必要な、狂犬病予防接種の証明書が出てこない。獣医さんに再発行を頼むことになるんだろうな。既に諦めモード。
 一応、探し物の能率アップのために、最近つくった度の強い眼鏡をかけてみた。安売り商品の中から選んだからデザインがいまいちおばさんっぽいのと、目が疲れるのとで、この眼鏡は普段殆どかけないけれど、残された視力をちょっとは助けてくれる。
 でも。眼鏡をかけた途端に気になったのは、カーペットに絡み付く犬の毛・猫の毛だった。特にエアコンの温風が直接当たる場所は、いつのまにか犬1頭がまるまって眠る大きさの黒い跡が…。
 思えば引っ越してからずっと使っているこのカーペット。故モモちゃん(モモンガ)が脱走して走り回ったり、裏のお宅のチャボが乱入してきたり、友人の飼い犬がおしっこをしたり、拾った猫が爪を研いだり、しつけを受けていなかったニッキーが遠慮なく大量に大小の排泄をしてしまったこともあった。もう掃除でどうにかにかなる状態ではなさそうだ。
 今年こそ本当に買い換えるぞ!
 だけど、カーペットを敷きかえるのにはまず、部屋を片づけなきゃいけないんだよね。あ〜、かたづけロボットとさがしものマシーンが欲しい。

■2002/01/06 (日) 発見

 ニッキーは最近、エレベーターの中で勝手に方向転換してしまう。
 この頃は車椅子用のバックミラー(入り口の反対側にある大きな鏡、あれがそう)と左右の低い位置の操作ボタンがあるエレベーターも増えたから、ニッキーと私はまっすぐエレベーターの中に進み、到着したらそのままバックで出る。
 実はニッキー、アメリカでの訓練中から後ろ向きに歩くのが苦手。場所に余裕があれば向きを変え、出来るだけ後ろ歩きをしなくてすむようにしてしまう。そのうちニッキーは、エレベーターに乗るなりさっさとドアの方に向きを変えて座り、「降りるよ!」の言葉を待つようになった。
 エレベーターはまだいい。電車の中では、扉に背を向けて座席に並ぶように車椅子を止め、座席との間にニッキーを伏せさせるのが定位置なのだけれど、左目が見えない私は、ちょうどいい位置に一発で車椅子を止められなくて結構苦労する。そしてニッキーはうまく定位置に入れない。車椅子と座席との間が狭すぎて入れなかったり、お尻を向けてダウンしてしまったり。
 で、先日某デパートのエレベーターに乗った時、他に人が乗っていなかったので、常に左端を歩くように訓練されているニッキーはエレベーターの壁に沿って移動した。私達はふたりともドアの方を向き、ニッキーは壁と車椅子の間の最小限の隙間でぴたりと座る。なーんだ、簡単に出来るんだ! 車椅子の切り返しをしないで、壁に沿って大きく移動すれば、そして壁と車椅子との距離をニッキーに確認させれば、目測が出来ないハンデをちょっと補えるかもしれない。
 今日は電車に乗る時にその方法を試してみた。電車に乗ったら直進し、車椅子をこぎながらニッキーの身体に左手を触れさせて、車椅子と犬の距離をぎりぎりに保つ。ニッキーが反対側のドアまで進んだら「Right」でドアと座席に沿って方向転換。こんなにスマートに定位置に車椅子を止められたのは初めてで、ちょっと嬉しい。
 普通は訓練所で教わるそういう技術を自分で探すのはやっぱり大変だ。トップドッグの人に教わろうにも、アメリカと日本の環境は違いすぎる。数少ない日本の介助犬ユーザーの中で視覚障害を持っているのも多分私ひとりだから、その点でも確立された方法が少なくて大変。
 でも、こんなちいさな発見が、ほんとに嬉しいんだよね。

■2002/01/05 (土) やられた!

 都内某所、我が実家の近くには猫と犬のテーマパークがある。そこで…見てしまった。黒白と三毛の2匹の子猫が「里親募集・貰って下さい」と張り紙をしたケージにいるのを。あ、先に言っておくと、この子達が我が家の子になった訳ではないのよ。里親希望らしき方もいたし。
 リズを拾った時より小さいくらいのちびさん達は、そりゃもう理性なんか吹っ飛ぶ愛らしさ。私は声が裏返り「か〜わ〜い〜〜い〜〜〜♪」と叫びながら三毛子ちゃん(仮名)を抱っこさせてもらった。ああ、ちび猫を抱いた至福のひととき。ところがここに、猫好き度では私に負けない奴がもうひとりいたのである。そう、ニッキーが。
 ニッキーはしっぽを振りながら、私の膝の三毛子ちゃんを覗き込み、黒白太くん(仮名)の方に興味津々で鼻を伸ばした。そこにいた私も友人達もニッキーの猫好きはよく知っているし、他の犬に噛まれても噛み返さない穏やかさも分かっているから、特に心配はしなかった。
 これが油断。いくら介助犬でもでかくて黒いニッキーが猫に近寄ったことで、スタッフさんがちょっと緊張したんだろうな、と今になると思う。その緊張が伝わったように、おとなの猫がニッキーを攻撃してきた。
 チンチラ系のミックス。子猫たちとは似ていないから親子ではないのだけれど、その時は親猫だと思った。そのくらい気合いが入っていたのだ、たまちゃん(本名)は。ニッキーが逃げても追う! 正面から顔を狙う!
 ニッキーのリードはいつも通り私の左手首に固定されている。通路が狭くて車椅子を動かせないので、ニッキーはやられっぱなしだった。友人があわててニッキーをたまちゃんから離し、スタッフさんがたまちゃんにリードを着ける。ほんの数秒だったし、猫慣れしているニッキーなら大丈夫とは思ったけれど、目をやられたら大変なことになっていただろう。
 今回は全面的に私のミスでニッキーを危険な目に遭わせてしまった。なので私は大いに反省したのだが…ここに反省しない奴がひとり。
 今さっき攻撃してきたたまちゃんに、愛想を振り撒き、なだめようとしている懲りないニッキー。これで少しは猫に興味がありすぎるという欠点が改善されるかと思ったのに。こいつの猫好きは筋金入りだった。(ため息)

■2002/01/01 (火) 誕生日

 ニッキーは、1996年1月1日生まれ(多分)。今日で6歳になった。
 おめでとう、ニッキー。
 うちに来た頃はおどおどして表情の少ない犬だったけれど、いい顔になったね。

 2歳で我が家に来たニッキーは、一般家庭で生活したことのない犬だった。ケージを開ければ何も考えずに飛び出し、家の中でテーブルを飛び越え、排泄も勝手にしてしまう。そしていつもぐるぐる左回りに歩きまわる癖があった。棒を怖がり、大きな音を怖がり、自転車を怖がり、制服を着た人を怖がり、急に呼ばれるだけで叱られると思ってしっぽを下げる子だった。
 突然いたずらに目覚めたり、反抗期もどきがあったり、我が家で子犬時代をやり直したらしい。身体だけは大きかったから、車椅子をスクラップにしてくれたり、ちょっとぶつかっただけでも転ばされたり、被害は大きかったけど。
「2歳の子犬」だったニッキーが訓練に入ったのは3歳4ヶ月。4歳の誕生日の直前に仮免許を貰い、介助犬として正式に認定されたのは4歳7ヶ月。日本で電車に乗れるようになったのがついこの間、5歳10ヶ月。
 本来の活躍が出来るまでに随分時間を無駄にしてしまってごめんね。

 今になって、ニッキーは私の介助犬になるために生まれてきたんだと、本気で思っている。
 私の人生に最初から、歩けないことも、ニッキーという犬に会うことも、留学することも、左目が見えなくなることも、そしてニッキーが私の手足と目になってくれることも決められていたような気さえする。ニッキー無しの自分を想像できないから、ついそんなふうに考えてしまうんだろうな。
 生まれて来てくれてありがとう、ニッキー。
 私のところに来てくれてありがとう。
 ちょっとは落ち着いて欲しいとか、気違いじみた分離不安をなんとかしてくれとか、水を飲む時に周り中にこぼすなとか、そんなことは思っていても言わないから、とにかく長生きしなさい!!!

(C)Yuki+Nicholas, http://blackdog.whitesnow.jp/