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くろいぬ日記

黒犬ニッキー、アリゾナ育ちの東京暮らし。

2002年12月の日記

■2002/12/25 (水) メリークリスマス

 昨年のイブは、今まで歩いたことのないJRの駅からの長い道を、ニッキーが一緒に歩いてくれた。車の多い道で、斜めになった歩道では万一斜面をずるずる流されて車道に出てしまったら…と不安になる。ニッキーが車椅子をまっすぐにする手助けをしてくれた時、「この子と一緒ならこんな道も大丈夫なんだ」と嬉しかったし、私が頼まない限りは何もせずに、私が自力で坂を登るのにゆっくり付き合ってくれたのも嬉しかった。
 今年もイブはニッキーとデート。私からのプレゼントでニッキーに楽をさせてやりたいと思って、タクシーを使ったり、時間がかかっても自力で車椅子をこいだり、エレベーターのボタンを押す道具を持参したりしてみた。
 そして夜、教会のキャンドルサービスに、ニッキー同伴で参加させてもらった。聴導犬のユーザーさんも礼拝に参加するという教会で、快く迎えていただいた。小さな礼拝堂で牧師さんが「介助犬のわんちゃんは、ニッキー君というそうです」と紹介したら、名前を呼ばれたニッキーはすっくと立ち上がって笑いを取る。
 みんな「盲導犬も聴導犬も介助犬も、お仕事している時はそっとしておくのよね、仕事が終わったら遊ぼうね、ニッキー」と、当たり前に受け容れてくれたのにはびっくりだった。
 嬉しかったのは、小学生の男の子の言葉。教会で手話教室も開いていると教えてくれ、「俺も手話やりたいなぁ。だってみんなと話せるもん」。
 誰かのために、とか、しなければいけない、とかでなく、みんなと話したい、だから手話も覚えたいって、すごく素敵なことだと思う。それに、「みんな」とか「私達」の中に、障害を持つ人や、世代や立場が違う人、国籍や文化が違う人たちも含んで考えられるって、本当のバリアフリーのいちばんの基本だよね。
 嬉しい言葉はさらに続き、「**小学校で介助犬のこと話したでしょ。ニッキーおにぎりを運んだよね」と、自分の学校でデモをしたニッキーを覚えていてくれ、その時の約束どおり、犬に触ったり仕事の邪魔をしないように気を遣ってくれた。
「将来の夢は獣医」だそうだ。仕事をする犬との付き合い方、何故そういう犬が必要なのか、そして、いろんな生き物と共に生きること。そんなことを伝えられる獣医さんになってくれるといいなぁ。
 ニッキーが少年の心に残したものは、私にも暖かい気持ちをくれた。
 メリークリスマス。


■2002/12/22 (日) 言葉

 あれ持ってきて、ここを引っ張って、という仕事を頼む時、ニッキーが物の名前を聞き分けて理解してくれなければ困る。くわえるとか押すとかの指示の他には、「ハーネス」「リーシュ」「パース(お財布)」「ケイン(杖)」「ソック(靴下)」「ドア」などなどの単語が、比較的よく使われる。
 例えば、冷蔵庫は「フリッジ」。我が家は冷蔵庫のすぐ側にキッチンの電灯の紐が下がっているので、「電気の紐」を指す「クリック」と混乱しないようにRの発音をオーバーにしつつ「フリーッジ」と指示する。フリッジ(冷蔵庫に行って)、タグ・オープン(紐を引いてドアを開けて)、ゲット・ティー(ペットボトルを取って)、お鼻・クローズ(鼻でつついてドアを閉めて)と、言葉をかけて、冷蔵庫の中のペットボトルを取ってもらう訳だ。ちなみに「お鼻」が日本語なのは、「ノーズ」では「ノー」と間違いやすいから。
 寒くなると私の膝は余計に曲がらなくなるので、ペットボトル以外の物も冷蔵庫から取り出してもらえるように、今日から練習を始めた。「ソーダ」と言えば缶、「ミルク」と言えば紙パックを取る練習である。
 牛乳大好きなニッキーが「ミルク」の言葉に過剰反応したらどうしようと心配だったが、意外にも簡単に「ミルク=紙パック」を習得、大好きな牛乳パックも冷静に持って来てくれた。後は練習を重ねるのみ。一方「ソーダ」は、いつも(例えば取って欲しい商品をニッキーが見た時に)「そう! そうだよ」と声をかけるので、混乱するらしい。日本語の「缶」でやり直すことにした。
 犬はどのくらいの単語を覚えられるんだろう。アメリカでは「うちの犬は200以上の単語が分かる」と豪語する人にも会ったけれど、本当のところどれだけ確実かは分からない。
 人間の言葉は、犬にとっては全く違う記号のはず。ニッキーがなかなか理解してくれない時は、何故? と犬の気持ちを考えるのが楽しい。それに時々とんでもない勘違いに笑わされる。
 最近では、「ゲット・ザ・セル(Cell phoneの略で、携帯電話のこと)」と頼んだら、「セル」じゃなく「お皿(ニッキーの食器)」を持ってきてくれた。「せる」と「さら」、似てなくもないし、確かにニッキーのご飯の準備をしている時に携帯が鳴り出したのだけれど…都合のいいように聞こえてしまうのは、犬も人間も一緒?


■2002/12/21 (土) もうすぐシニアフード

 ニッキーのフードを違うメーカーのものに変えてみた。今までのフードも悪くはないのだが、トレーナーさんや獣医さんや犬友達の話を聞いて、いろいろ考えた末の決断だった。
 本当はあまりよくないのだろうけれど、ニッキーのフードは安い通販で大きな袋のものを購入している。大きな袋で買って、もしニッキーの身体に合わなければかなりもったいないのだが、何度か食べさせているから問題はないだろう。一袋が一ヶ月以上持つサイズの大きな袋。だから、今年最後のフード購入だ。
 気づけば、来年の元日はニッキー7歳の誕生日。次に買うフードはシニア用になるのだろうか。なんだか、またまたじーんと来て、ニッキーを抱き寄せてしまった。2歳だったニッキーは(成長が遅い子だったから特に)本当に子犬子犬していて、やんちゃでパワフルで、何でもがつがつ食べていたのに、あっという間にシニア犬になって、食べ物にも前にもまして注意が必要になった。
 自分の数倍の速さで老いていく生きものと暮らすって、覚悟がいるんだね。
 数日かけて以前のフードから切り替えた。相変わらず何でも食べるニッキーは、味の変化なんか全く気にせず平気で食べたけど。フードが変わったら、当然うんこの色も変わった。犬は人間が与えたものを、特にドッグフードならそれだけを食べるのだから、飼い主の選択の責任は重い。色の変わったうんこを拾うとき、実感する。
 来年は、ニッキーの介助犬認定の有効期限が切れる。3年ごとに試験をして更新するのが我が母校の決まりなのだ。4歳で介助犬になったニッキーが7歳になる。10歳で引退するとして、もう介助犬としての生活が半分過ぎてしまった。
 4歳までは、介助犬になって欲しいという目標で頑張った。それから、介助犬として日本で暮らすために、また頑張ってきた。ニッキーは、ひとつひとつ私と一緒に乗り越えて、一緒に成長してくれた。
 7歳からは、ニッキー自身が暮らしやすいように、健康で長生きして、働く犬のプライドも満足させて、引退後にも楽しみが沢山持てるように、それが最大の目標になるんだろうな。
 私のために頑張ってくれたニッキーのために、これからが私の正念場になるのかもしれない。今度は私が頑張るよ、見捨てないでね、ニッキー。


■2002/12/16 (月) 大変ご無沙汰いたしました、再開します

 夏以来ストップしていた「くろいぬ日記」再開します。
 ストップしていた間の日記は、これからおいおいアップして行きますので、興味のある方はチェックしてください。
 またよろしくお願いします。


(C)Yuki+Nicholas, http://blackdog.whitesnow.jp/